灯火親しむべし
【漢字】灯火親しむべし
【読み】とうかしたしむべし
【意味】秋の夜は灯りの下で読書をするのに適しているという意味。
【例文1】休日は灯火親しむべしの季節だ。
【例文2】灯火親しむべしで読むペースが速い。
【例文3】灯火親しむべしだから10冊本を買う。
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「灯火親しむべし」の季節って
「灯火親しむべし」の灯火はともしびのことです。この言葉は唐の韓愈の一句「灯火稍可親」に由来します。「秋の涼しい季節と夜長は読書をするのに適している」という意味です。ところが、中国三国時代(魏、呉、蜀)の魏を中心に書かれた歴史書である「魏略」(ぎりゃく)には違う記述があるのです。三国志の時代、曹操たちが活躍していた時代の書物です。当時の日本は弥生時代であり、この書物に邪馬台国の頃の倭のことが書いてあることで、日本では注目されている書物ですが、古い時代のものですから散逸してしまっていて、全部が読めないところが残念です。この魏略には読書について「読書三余」として読書に最適な余暇時間として冬、夜、陰雨と挙げられています。
時が下って580年後、中唐時代に文人、韓愈が登場しこの詩が発表されます。その頃、日本は平安時代で唐文化も受け入れ、また取り込むだけの文化が出来上がっていますから、おそらくは韓愈の詩の方、「読書に向いているのは秋」の説が日本人に浸透したものと思われます。ちなみに、今の日本の読書週間は、10月27日から11月9日までの2週間にわたり、読書を推進する行事が集中して行われる期間ですが、戦前に日本図書館協会が11月17日から11月23日まで「図書週間」を制定し、その後戦争で中断したものの戦後になり「読書週間」が復活し現在に続いているものです。もしも、韓愈より前の「魏略」が日本に伝わっていたら読書週間は冬になっていたかもしれませんね。