三拍子揃う

【漢字】三拍子揃う
【読み】さんびょうしそろう
【意味】必要な三つの条件がすべて揃っている。
【例文1】彼女は誰もが羨む頭・顔・スタイルと三拍子揃っている。
【例文2】彼はイケメンだけでなく性格や良家と三拍子揃う。
【例文3】性格・家柄・品格と三拍子揃う。

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長嶋茂雄選手を称して「三拍子揃う名選手」と言った父

「三拍子揃う」という言い方を私が初めて耳にしたのは、子どもの頃。野球のジャイアンツファンだった父が、長嶋茂雄選手のことをこうほめているのを聞いたのです。
「打ってよし、守ってよし、走ってよし。こんなに三拍子揃う名選手もめずらしい」
当時のジャイアンツの四番バッター長嶋選手は、確かに強打者であると同時に、名三塁手でもあり、また走力も優れていました。たとえば、王選手は最強のバッターであり、名一塁手ではあったものの、走るのは速くありませんでしたから、「走ってよし」とは言えません。
今、これを書いていてふと思ったのは、今のイチロー選手はまさに典型的な三拍子揃う名選手だということです。
私は歌舞伎が好きなのですが、歌舞伎役者の三拍子は「声、顔、姿」の三つ。市川海老蔵さんなど、「声が良くて美貌で姿もすてきな三拍子揃った役者」と言っていいでしょう。
ところで、「飲む、打つ、買うの三拍子揃ったダメ亭主」というように悪い意味で使われることもあります。しかし、それはどうやら江戸時代の後期からのことで、もともとはやはり良い意味で使われる言葉だったようです。
語源は能楽。お能の囃子で使う三つの楽器の拍子がぴたりと合うことを「三拍子揃う」と言ったのだとか。異なる楽器の拍子が揃えば美しい音楽になりますから、「三拍子揃う」はポジティブな意味で使われていたわけですね。