牙を研ぐ
【漢字】牙を研ぐ
【読み】きばをとぐ
【意味】相手を倒そうと待ち構えている様子。
【例文1】証拠を揃えて牙を研ぐ。
【例文2】罠を仕掛けて牙を研ぐ。
【例文3】挟み撃ちで牙を研ぐ。
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爪を研ぐよりもおそろしい「牙を研ぐ」
「牙を研ぐ」という言葉を聞くと、どうしても爪を研ぐという言葉を連想してしまいます。どちらも意味はほぼ同じと考えていいでしょう。
復讐心を持って相手を倒したり陥れたり、傷つけてやろうと用意しながら、相手を待ちかまえるというようなシーンで使われる言葉です。
牙を研ぐのはその牙で相手に噛みつくためであり、爪を研ぐのはその鋭い爪で相手を傷つけるためということになるでしょう。どちらもやられたほうはたまりませんが、やはり、牙の方がよりおそろしいイメージがありますよね。
気になるのが「研ぐ」という動詞。この動詞を一番よく使うのは、「米を研ぐ」ではないでしょうか。お米を水の中ですりあわせるようにして洗うことを、そう表現します。
考えてみると、「牙を研ぐ」は、牙を磨いて鋭くするという意味ですが、米を研ぐのは、別にお米を鋭くするためではありません。
どういうことなのか、調べてみたところ、「研」という漢字には、もともと「石などですりみがく」という意味があるようです。米をすり合わせるようにするところから、米も「研ぐ」という言い方になったのでしょう。
今はほとんど使いませんが、鏡を研ぐという表現もあるようです。これも、鏡を何かでこするようにしてすり合わせ、きれいにしたり艶を出したりするという意味です。
それにしても、自分の知らない所で、誰かがひそかに牙を研いでいるシーンは、ちょっと想像したくありませんね。
「牙を研ぐ」
何か事を成そうとする時、自分の力を発揮する出番が来るまで自分磨きを怠らずにやる様を「牙を研ぐ」と言います。その時が来るまでジッと息を潜め、さにありながらその間を無駄に過ごさず己の鍛錬をする。この場合の「牙」とは人間で言えば使用する道具或いは思考を指します。ここ一番で活躍の機会が訪れても、道具がきちんと機能しなかったり思考が鈍っていては折角のチャンスを潰す事になります。そうならない為に常日頃から自分の頼りにしているものはきちんと手入れする事が肝要なのです。諺で「能ある鷹は爪隠す」とありますが、これですら爪を使う好機になまくらの爪では折角の獲物を逃がす事になってしまいます。賢明な判断の出来る方であればそういうヘマはせず、自分の時間帯になった時存分な働きが出来る様準備をやれる筈です。どれだけ準備をやっていても、いざその時を迎えれると想定外の事態に見舞われる事もあり、思い通りの活躍が出来なかったりするものです。しかしこの準備がどれだけ出来ているか否かで不測の事態に落ち着いていられるかが変わって来ます。準備したという安心感があれば多少慌てる事はあっても、直ぐに立て直しが利くものです。すなわち「牙を研ぐ」とは自身を研ぐ事であり、待ちの時を有効に使える人が成せる人であるのです。