刃に掛かる
【漢字】刃に掛かる
【読み】やいばにかかる
【意味】刀で斬られる。
【例文1】敵が仕掛けた罠に刀に掛かる。
【例文2】畑を荒らすイノシシを刃に掛ける。
【例文3】屋根裏部屋のネズミを刃に掛ける。
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「刃に掛かる」が辞書に載る時
「刃に掛かる」の刃の読みは「は」ではなく「やいば」です。意味は「刃物で殺されること」です。物騒な言葉ですが、これは1603年(慶長八年)に日本イエズス会が刊行した日本語をポルトガル語に訳した日葡辞書に載っている言葉なのです。当時の標準語である京都語をポルトガル語のローマ字で見出しにつけて、歌語と文語を注釈したものです。「刃に掛かる」が辞書に載せられた時代とはいつ頃でしょうか。慶長八年は江戸時代の初めです。国盗り合戦が行われた安土桃山時代を経て、ようやく徳川家康が江戸幕府を開いて世の中が落ち着いたかなという頃です。織田信長に擁護されていたキリスト教はイエズス会がフランシスコ・ザビエルを日本に送り、布教に励み信者が増えてきたところで、豊臣秀吉が一転、禁教令を出して大混乱します。その頃には日本イエズス会もありましたが、多くのキリスト教徒たちが禁教令による混乱の中、「刃に掛かり」亡くなっていったのです。もちろん、それ以前の合戦の中で「刃に掛かる」ことはたくさんありましたから、軍記物語などの書物には文語で「刃に掛かる」が出てきていたのでしょうが、この言葉が当時の日葡辞書に掲載された事情にキリシタンの弾圧があったとすれば、とても悲しいことですね。