落花狼藉
【漢字】落花狼藉
【読み】らっかろうぜき
【意味】花びらが散る、狼がいた跡は草が乱れていることから、女性や子どもに乱暴をふるうこと。
【例文1】あそこのご主人、落花狼藉で妻子が出て行ったみたいよ。
【例文2】落花狼藉の被害に逢う。
【例文3】落花狼藉で逮捕される。
落花狼藉をテーマにした記事
「落花狼藉」の今むかし
「落花狼藉」の落花は文字通り花が落ちること、またその花であり、狼藉とは「狼の寝床」ので乱暴な様子を例えたものです。つまり「花をわざと散らすような乱暴をすること、また、ものの入り乱れて取り散らかっているようす」のことです。能の「雲林院(うりんいん)」に「あら落花狼藉の人やそこ退き給え」と使われているように古くからある言葉です。「雲林院」は京都市北区紫野にあった天台宗の寺院のことですが、能では在原業平が二条の后を誘い出し都を脱出したという話を脚色した艶物です。在原業平は平安時代の人ですが、容姿端麗、情熱的な和歌の名手にして色好みの伝説的美男という、今風にいえばスーパーアイドルです。それが帝の二の后との不倫、能になって現代まで継がれていても不思議はありませんね。
現代の落花狼藉で記憶に新しいのは富山県の花時計です。開花時期に合わせて植えてあったチューリップ。名物のチューリップ花時計のために育てられていたものを何者かに、チューリップの上部、花の部分だけが夜の間に鋭利な刃物で次々と切り取られていたという事件でした。担当者の落胆ぶりはニュース映像からも伝わり、「間にあうように用意したい」と答えておられるのが、お気の毒でした。犯人はわからずじまいと記憶しています。去年の初夏、うちでも落花狼藉かという事態がありました。ある朝、かきつばたの花の部分が全部なくなり、丈の高い茎だけが並んでいる有り様。よくよく観察すると近くに鹿の足跡が。かきつばたの花が野生の鹿に食べられていたのです。狼ではなく犯人は鹿でした。花見の桜が荒らされるという事件もたまにありますが、落花狼藉は、やはりいけませんね。