溜飲が下がる

【漢字】溜飲が下がる
【読み】りゅういんがさがる
【意味】不満やねたみがなくなり、スッキリした気持ちになる。
【例文1】彼に言いたい事をぶつけたら、溜飲が下がった。
【例文2】嫌味な先輩が退職して溜飲が下がる。
【例文3】恋人と仲直りして溜飲が下がる。

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心配事やわだかまりが解消されて、気持ちが楽になる

溜飲が下がるとは、心配事やわだかまりが解消されて、気持ちが楽になることです。溜飲というのは、食べ物が胃に溜まり、酸っぱい胃液がのどに上がってくることを言います。
心配事などがあると、食欲も無くなり、なんとなく胃に食べ物が溜まっているような感じになることがあります。それを、言うことわざです。
例えばこんな使い方をします。いつも負けてばかりの相手に、今回の試合では勝ててやっと溜飲を下げたような気分だ、などと使います。テニスで錦織圭が
ジョコビッチに勝ったような場面を想像すると良いでしょう。会社で仕事をするOLさんたちなら、こんな風に使うかも知れません。あの彼女、いつも自分がもてて私たちが駄目だと下に見ているけれど、この間あのイケメンに振られたのですって、などと使うことでしょう。
このことわざの使い方は、自分がいつもはちょっと下であるけれど、今回はそれ以上になれて、関係ある人にちょっと勝った気分ということなのです。人生の出来事全てに勝ち負けを付けるわけではありませんが、いつも良い思いをするという人は少なからずいます。そんな人よりも、少しでも上にいけたなら、それは溜飲を下げたことになるのです。ほんの少しの努力で溜飲は下げられるのかもしれません。

溜飲が下がる、という言葉、小説などでは見かけるけれど

別に間違ったことをしたわけではない、叱られるようなことをした覚えもない、
だけど、なぜか叱られ、厳しいことを言われたときって、心の中がモヤモヤしますよね。
実力拮抗の相手と競っていた時、その相手が何かの都合でリタイアしたとします。
例え不戦勝であっても、勝ちは勝ち、喜ぶべきことなのかもしれませんが、
どうにも素直に喜ぶことができず、モヤモヤして憂鬱な気持ちになります。

叱られた原因や、厳しいことを言われた理由を知り、納得できればスッキリします。
同じ相手と実際に競って、改めて勝利を勝ち取ったときにも、晴れやかな気分になります。
このモヤモヤとした憂鬱を解消し、スッキリ晴れやかな気分になることを、溜飲が下がると表現します。

溜飲が下がる、この表現にある溜飲とは、
消化不良のときに喉元に上がってくる、すっぱい胃液のことです。
口から出そうで出ない、この胃液が上がってくる状態は、とっても気持ちが悪いですよね。
この溜飲が、喉元に上がってくることなく、胃まで下がってくれた時のホッとする安心感、
溜飲が下がるという表現は、この状態が由来になっています。

とはいっても、実際にこの表現を使用することは、私はほとんどありません。
「スッキリした」「気が晴れた」という言葉を使っています。
溜飲が下がる、などと言ったら「どういう意味?」と聞き返されてしまいそうです。

「溜飲が下がる」より溜飲を下げたい

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」に使われている「溜飲」とは江戸時代の医学用語です。消化不良で胃から酸っぱい液が喉元まで逆流してきたり胸焼けがして何かが食堂に詰まった感じがすることがあります。それを「溜飲」と言います。「溜飲」が胃に下がるとモヤモヤとした不快感が消えスッキリと爽やかな気分になります。その状態になることを「溜飲が下がる」または「溜飲を下げる」と言います。では「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」は何が違うんでしょう。「溜飲が下がる」は不平・不満・恨みなどが消えてスッキリとした気分になることを言います。「溜飲を下げる」は不平・不満・恨みなどを解消して気分をスッキリさせることを言います。「溜飲が下がる」は自分の行動によって不平・不満・恨みが消えるのではなく自分以外の力が働くことによって不平・不満・恨みが解消されることのようです。反対に「溜飲を下げる」は自分の行動によって不平・不満・恨みを解消することのようです。どちらかというと「溜飲を下げる」の方が「してやったり!!」とスッキリしそうなのは私の意地が悪いからなのでしょうか。自分で不平・不満・恨みを解消するイメージからか平成19年に文化庁が発表した「国語に関する意識調査」では26.1%の人が「溜飲を晴らす」という間違った使い方をしていたそうです。