獅子の子落とし

【漢字】獅子の子落とし
【読み】ししのこおとし
【意味】獅子は谷底に我が子を突き落として這い上がってきた子だけを育てるとの言い伝えがある。我が子が本当に可愛いならば、世の中の大変さを経験させた方が将来子どものためになるという教え。
【例文1】心を鬼にして獅子の子落とし。
【例文2】息子に独り暮らしを勧めるのは獅子の子落としだ。
【例文3】獅子の子落としの経験が身に付いた。

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自分の子どもに試練を与えて強く立派に育てる

「獅子の子落とし」とは、獅子は自分の子を崖から落として這い上がってきた子を育てるという様子を表し、転じて、自分の子どもに試練を与えて強く立派に育てることを意味します。ところで、獅子は本当に我が子を崖から落とすようなことをするのでしょうか。

ここで言う獅子とは百獣の王ライオンのことと言われております。ライオンが自分の子どもを崖から落としているシーンを直接はもちろんテレビを介してでも見たことがある人は皆無なのではないでしょうか。実際、ライオンのメスは非常に子煩悩で我が子を大事に大事に育てると言われていますので、崖から落とすなどあり得ない話です。では、オスはと言えば、育児には余り関心がない上に、実はメスに比べると小心な性格だと言われています。そんなオスが我が子を崖から落とすことはやはり考えられません。そもそも、ライオンの生息している地域は平原ですので、突き落とす崖を探すのも大変な作業になります。

では、なぜこのような慣用句が生まれたのでしょうか?まず、獅子はライオンのことと言われていますが、この慣用句が生まれたのは中国です。古代中国にライオンがいるかといえば、おそらくいなかったと思われます。そのためここで言う獅子とは空想上の動物だとも言われています。
これはあくまで個人的な考えですが、ライオンと言う強い動物がいるらしいと中国に伝わった結果、空想上の動物「獅子」が生まれ、強いと言うイメージが、崖から我が子を落として這い上がらせるというイメージへと転じたのではないかと推測しています。

ついつい過保護になってしまう。獅子の子落としは難しい。

獅子の子落としとは、わが子に厳しい試練を与え、その器量を試すことで一人前に育てることができるというたとえです。(出典:故事ことわざ辞典)
ライオンは、わが子を深い谷底にわざと落として、這い上がってきた子のみ育てるという古くからの言い伝えから生まれた言葉です。実際には、ライオンは父親母親ともに谷底へ落とす慣習はないそうです。
わが子の成長のために厳しい試練を与えることは、子どもにとっても大変ですが親にとってもハードルが高いことです。
可愛いわが子には、なるべく苦労をしないで育って欲しいと思うのも親心だからです。
自分の経験や失敗を活かして、わが子には同じ失敗をさせたくないとついついレールを敷いてしまい、余計な苦労をしなくて済むように、人生をお膳立てしてしまう親御さんも多いと思います。
大きくなってから激しい受験戦争を体験させたくないと、大学付属の幼稚園や小学校をお受験させるのもその一例ですね。
苦労するとわかっていて敢えて厳しい試練を与えることで、子どもが苦しむ様子を見るのは親にとってはとてもつらいことです。
先の例で言えば、あえて大学付属でない学校に進学して、緊張感を持って勉強させて大学受験にのぞむのが「獅子の子落とし」に当てはまるのでしょう。
獅子の子落としをすることによって、子どもも成長しますが、実は親が成長します。親子ともに成長するのが大事なことかもしれませんね。