毒を以て毒を制す
【漢字】毒を以て毒を制す
【読み】どくをもってどくをせいす
【意味】悪事を排除するのに悪事を利用する。
【例文1】万引き犯を捕まえるには、おとりになり毒を以て毒を制す。
【例文2】裏サイトのユーザーになりすまして毒を以て毒を制す。
【例文3】詐欺に引っ掛かったふりして毒を以て毒を制す。
毒を以て毒を制すをテーマにした記事
さまざまな毒を以て毒を制す事例
毒を以て毒を制すとの意味は悪を取り除く為には、他の悪を利用して排除するという意味で、人間社会において考えるとこの考えは非常に危険に感じます。
以前、1970年代の人気劇画の「愛と誠」という連載漫画を思い出しました。
不良の少年太賀誠と美しく清純なお嬢様の早乙女愛との複雑なラブストーリーだったのですが、
物語の内容は長くなりますので、それはさておき、この言葉で思い出されたのは漫画も後半に入り、お嬢様学校から不良グループの塊の高校へ転校した早乙女愛は、
ある日、その悪の高校の校長が、不良グループを排除する為には、手段を選ばずに早乙女愛に「毒を以て毒を制す」と意見をし、
きれい事ばかりでは物事は解決しないと教育者らしくない発言ながら、現実とはそういう物だと言い切った場面がありました。
しかしながら、早乙女愛はその意見に真っ向から反対し、「毒を制するには毒ではありません、あくまでもきれいな心です」と校長にむかって意見したのですが、
校長は真っすぐな早乙女愛の気持ちは理解しながらも、「きれいな気持ちだけでは・・」とやはり現実は甘くないと肯定は出来ませんでした。
この言葉を現代社会に置き換えて考えてみても、例えば北朝鮮の核兵器に対し、核兵器で対抗するしか方法がない、いや、きれいな心とは言わずとも、
あくまでも対話で、人類が滅亡するような方法は考えてはいけません。とセリフがダブっているように感じてなりません。
その反対に化学的に考えると、予防接種などは、その病原菌となる物を身体に少量ながらでも入れ込み、抗体を作り、
病気から守るという意味では、非常に納得する言葉ともなります。
でも、人間社会での制裁の意味では本当に怖い言葉だと思います。
毒を以て毒を制すとは
毒を以て毒を制すとは、悪を除くために別の悪を利用することを言います。毒に当たった病人の治療で、別の毒を用いて解毒することから、悪を滅ぼすために別の悪を利用することを言うようになりました。この言葉の出典は宋代の禅書「嘉泰普灯録」の中に「機を以て機を奪い、毒を以て毒を制す」とあることに基づきます。
例えば、病気を治すのに、その病原菌(毒)に対応するような菌(毒)を用いて治療に当たるというような事です。これは、実際の治療にも使われている方法です。
また、悪人を排除するために別の悪人を使うというようなこともあります。これは、江戸時代には多く行われていたようです。江戸時代、町を仕切っていたやくざなどは良い例でしょう。彼ら自体も決して善人と言える人たちではありません。しかし、彼らがいることで、他の悪人達がはびこることができなかったのです。これなどは、毒を以て毒を制していたのでしょう。
悪とは全てにおいて悪いと言うことではありません。どこかでうまく利用できるなら、更に大きな悪を排除できるのです。もちろん、それによって一般の人たちに不利益が発生してはいけませんから、悪を使う場合は十分な注意が必要です。トリカブトなどは毒薬ですが、使い方によっては薬にもなります。まさに毒を以て毒を制しているのです。