火中の栗を拾う

【漢字】火中の栗を拾う
【読み】かちゅうのくりをひろう
【意味】自分の利益にもならないのに他人にそそのかされて危険を冒す。
【例文1】火中の栗を拾うように仕向ける。
【例文2】火中の栗を拾うとも知らないで。
【例文3】おひとよしで火中の栗を拾う。

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火中の栗を拾うの由来と意味

皆さん「火中の栗を拾う」という言葉をご存知でしょうか?
普段、生活しているなかではあまり耳にしない言葉ですね。
これは自分の利益にはならないのに他人にそそのかされて危険を冒すことの例えだそうです。
また自ら困難に立ち向かう、という意味もあるそうです。

この言葉は、十七世紀のフランの詩人、ラ・フォンテーヌがイソップ物語を基にした物語の中でずる賢い猿におだてられた猫が、囲炉裏の中で焼けている栗を拾い大やけどをし栗は猿に食べられてしまう、という悲しいお話が由来になっているようです。

イソップ物語、は皆さんご存じですよね。でも具体的に何をイソップ物語と指すのかご存じですか?
イソップ物語はアイソーポス(イソップ)が作った物語を集めた物語集の総称なんです。

有名な物語は「北風と太陽」「アリとキリギリス」「金の斧と銀の斧」などです。
この辺の物語は一度は子供の頃、絵本などで読み聞かせがあったのではないでしょうか。名前を聞いただけで物語の内容がわかる人がほとんどだと思います。
他にも「農夫とそのこどもたち」や「バッタを捕まえる少年とサソリ」など有名ではないですが面白い物語もたくさんありますので、大人になった皆さんも、もう一度読み直してみるのもいいかもしれません。

火中の栗を拾うのは確かに危険です

今どき焚き火をしている場で栗を焼こうなどとする人があるとは思えません。
歴史の教科書で火中の栗を拾うという題目の風刺画を見たときにその言葉の意味を知り危険性を既に知っているはずです。
もともとこの言葉は「猿と猫」というフランスの寓話がその由来だそうです。
猿が猫をおだてて暖炉の栗を拾わせ、結果は猫が大火傷を負い猿が栗を食べたという話です。
危険な仕事を他人に押し付けてその利益だけは自分がいただくというなんとも小悪党な振る舞いです。
教科書に載っていた風刺画は、猫が日本で猿がイギリス、栗を煮ていたのはロシアだったとおもいます。
結果は戦争という大惨事、唆されて動いてしまったのも賢くないと言えますが、およそ紳士の国とは言えない非道なやり方です。
さて、他人に唆されて危険を冒すのを火中の栗を拾うといいますが、安全に栗を焼く方法も無いわけではありません。
急激に加熱すると中の水分が蒸気となって爆発するので、そのまま焼くのは危険です。
焼いている場所に近づくだけで危険、焼きあがりそうな時などさらに危険度は上がります。
破裂しないようにするには、弱火で長時間加熱する石焼などの方法が良さそうです。
他の方法として、軽く切れ目を入れればそこから程よく蒸気が抜けるので、そちらの方が安全度は高そうです。
銀杏を石油ストーブの上で焼くときなどにもこの方法は使われます。