江戸の敵を長崎で討つ

【漢字】江戸の敵を長崎で討つ
【読み】えどのかたきをながさきでうつ
【意味】江戸で受けた恨みを遠く離れた長崎で打ち返すたとえから、意外な所から仕返しをすること。
【例文1】10年前の父の恨みを江戸の敵を長崎で討ってやった。
【例文2】パワハラ発言をする上司が、停車していた私の車にぶつかってきて過失がない私は慰謝料も請求し江戸の敵を長崎で討つ。
【例文3】30キロダイエットに成功して元カノに江戸の敵を長崎で討つ。

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江戸の敵を長崎で討つについて

『江戸の敵を長崎で討つ』には二つの意味があります。ひとつは意外な場所で昔の仇を討つこと、もうひとつは筋違いなことで仕返しをすることです。前者は江戸と長崎がかなりのよりがあること、後者の語源は江戸の興行において大阪の竹細工職人が大人気になり江戸の職人の面目が丸つぶれになっていた時に、長崎のギヤマン・ビードロ細工の職人が現れ大阪の竹細工を凌ぐ人気になったことから、江戸の職人が溜飲をさげたということで「江戸の敵を長崎が討つ」ともいうことです。
この言葉で私が経験したことを思い出します。決して恨みをはらしたということではありません。
以前、あるスーパーの駐車場に車を停めていて、そこから私の車を出そうとしていました。その駐車場はとても狭く道路まではずっとバックでしか出られません。その時1台の緑の車が入ってきたのでその車が駐車し終わるまで待つことにしました。緑の車の運転手は運転が苦手らしく、何度も切り返しを行い4回ほど出たり入ったりを繰り返していました。やっと緑の車が停まったようなので私の車を再びバックさせると、「ドン」と衝撃が来ました。すると緑の車はまたバックしたようで私の車の後部と衝突していました。その後は緑の車の運転手とどっちが悪いかの口論となり、代理人を通しての話し合いも不調となり、相手が修理代を求めて私の家に上がり込んでくるなどの大トラブルとなりました。もちろん私も相手への恨みが募りました。1年ほどで和解しましたが、結局私のほうが一方的に修理代を払うことになりました。その後この緑の車を見かけるたびに腹立たしい気持ちになりイライラすることの連続でした。
しかし、あるスーパーで偶然緑の車の運転手を見かけました。5歳くらいの孫と買い物をしているようで、今まで見たことのないような優しい顔で孫との買い物を楽しんでいました。その時に「あぁ、この人も根はやさしい人間なんだ」と心の中で思い、いつの間にかその人への恨みが薄らいできました。
江戸の敵を長崎で討ってはいませんが、あるスーパーで起こった恨みが別のスーパーでの出会いで消える出来事でした。