敗軍の将は兵を語らず

【漢字】敗軍の将は兵を語らず
【読み】はいぐんのしょうはへいをかたらず
【意味】戦いに負けた者は武勇について語る立場ではないという意味から、失敗した者は潔く失敗を認め弁解するべきではないという戒め。
【例文1】飲食店の再起を持ちかけられたが、敗軍の将は兵を語らずで説得力がない。
【例文2】事業に失敗した君が偉そうに敗軍の将は兵を語らずと一喝する。
【例文3】敗軍の将は兵を語らず認めたらどうだ?

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「敗軍の将」から教えられること

私たちはよく先生や上司など、知識や経験が豊富で、また社会的地位があったりその方面で成功した業績のある人にアドバイスを求めることでしょう。是非力や知恵を貸していただきたいと感じるものです。逆に年下であったり、後輩、さらには失敗してこっぴどく叱ってしまったことのある部下にアドバイスを求めるには謙虚さが必要かもしれません。そんな時は部下のほうも良いアイディアがあるにもかかわらず、恐縮して意見を提出するのがなかなか難しく感じることでしょう。でもそのアイディアが大きな成功につながることもあるかもしれないのです。
中国の秦から漢の時代にかけて起きたある出来事をもとにしてできたことわざで、「敗軍の将は兵を語らず」というものがあります。韓信という漢の大将軍が周りの敵国をどんどん制圧していく中で、陳余という将軍と戦うことになります。陳余には李左車という部下がいましたが、彼は部下の助言を退けてしまったため、戦死してしまい、部下の李左車は捕虜になってしまいます。しかし韓信は李左車の能力を高く評価していたので、続く戦いにおいてどのような方法をとればいいのか尋ねます。その時に李左車が語ったのがこの有名な「敗軍の将は兵を語らず」、つまり戦に負けた自分に戦略を語る資格などない、という言葉なのです。このことわざは一般的に失敗した者、敗者に発言権などない、という意味で使われることが多いようです。しかしこの物語には続きがあり、戦に勝った韓信は諦めずに李左車に「遠慮しないでほしい、もしもあなたの上司の陳余があなたの助言を聞いていたなら、敗軍の将は自分だったのだから」と言ってアドバイスを求め、それに従ったため大勝利を収めた、という結末になったのです。
人は誰しも間違いをし、得意分野もそれぞれです。ただ年下だから、後輩だから、また失敗したからという理由で、意見を述べるチャンスを与えられないとしたら、それはお互いにとって損失となるかもしれません。自分がどんな立場で学びまた仕事をしているかにかかわらず、腰を低くして謙虚に教えを請うなら、違った角度からの新鮮なアイディアに気づかされることもあるでしょう。活到老、学到老、老いるまで学び続ける姿勢は大事ですね。