ひいきの引き倒し

【漢字】ひいきの引き倒し
【読み】ひいきのひきたおし
【意味】あまりにもひいきしすぎるとかえって相手が不利なる。
【例文1】末っ子ばかりを可愛いがり過ぎて、ひいきの引き倒しのせいで兄の性格が嫉妬深くなった。
【例文2】ひいきの引き倒しのせいか正しい判断ができなくなったのだろう。
【例文3】ひいきの引き倒しのせいで作業に差が出る。

ひいきの引き倒しをテーマにした記事

「ひいきの引き倒し」ってそもそも何?

「ひいきの引き倒し」という言葉は普段ほとんど使うことのない言葉です。意味は「ひいきすることによってかえってその人の立場を悪くすること」です。単純な例が昔の嫁いびりですね。姑が長男の嫁と次男の嫁を引き比べ、同居の長男の嫁のアラは一緒に住んでいるだけに見えてしまう。次男の嫁はたまに来て親孝行をして帰る。姑が「あんたに比べて次男の嫁は言うことなしのできた嫁だ」と言おうものなら大変です。長男の嫁がよほどの好人物でない限り、次男の嫁は後々辛い立場になりますね。それは悪いひいきの例で、良いひいきの例もあります。石川啄木と金田一京助の例です。石川啄木は生活力がありませんでした。嫁をもらい子ができても定職につかず生活に困窮する毎日でした。啄木と同郷で高校の一年後輩であった金田一京助は見かねてお金の援助をします。啄木は短歌を作っても売れず、小説を書いても売れず、失意の中結核にかかって寝込んでしまいます。薬代も今日の食事も賄えない有り様でした。それでも金田一京助は彼の才能を見抜き、親元からのお金をつぎ込んで面倒を見続け、啄木の最期も看取ります。啄木の死後、お墓を立てたのも彼です。皮肉なことに啄木の歌集は彼が死んだあと売れ始めるのです。その後金田一京助は言語学者として文化勲章を受章するまでになります。若き彼が啄木をそこまで心血注いでひいきをしなければ石川啄木という天才歌人は存在しなかったかもしれません。良いひいきか悪いひいきか、行う時には慎重にあるべきですね。