虫唾が走る

【漢字】虫唾が走る
【読み】むしずがはしる
【意味】胸がムカムカするほど不快感を表す。
【例文1】あの人を見るだけで虫唾が走る。
【例文2】思い出しただけでも虫唾が走る。

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「虫唾が走る」の「虫唾」って何?

「虫唾が走る」とは、胸がむかむかするほど不快なことを表す慣用句です。「虫酸が走る」とも書きます。では、「虫唾」あるいは「虫酸」とは一体何なのでしょうか。
胃液が逆流してきたときは、本当に不快ですよね。あの酸っぱい何とも言えない味は、できることなら味わいたくないです。そして、あの胃液が「虫唾」なのです。一説によると、昔の人は、あの酸っぱい液は、井の中に寄生虫が住んでいて、その寄生虫が吐き出す唾液だと考えたのです。だから「虫唾」と書くのです。または、寄生虫が出す酸っぱい液だから「虫酸」と表記するのです。
このように、漢字の表記が二種類存在するので、歴史的仮名遣いも二種類存在します。つまり、「むしづ」と「むしず」です。「虫唾」は「むしのつば」なので「むしづ」であり、「虫酸」は「むしのす」なので「むしず」となるわけです。ただ、現代では、「虫唾が走る」と表記し、「むしずがはしる」とひらがなで書くのが普通のようです。
実際の胃液は、胃で分泌される酸性の消化液なので、むしろ寄生虫や細菌などを殺菌する役割があるわけですが、そんな酸っぱい胃液を「体の中の寄生虫のせいだ」と考えた昔の人の発想はなかなか面白いですね。