袖振り合うも多(他)生の縁

【漢字】袖振り合うも多(他)生の縁
【読み】そでふりあうもたしょうのえん
【意味】知らない人と通りすがりに袖が触れ合ったのも、前世からの因縁があるものだ。
【例文1】旅先で隣の席に座ったのが袖振り合うも多生の縁だ。
【例文2】ここで出会ったのも袖振り合うも多生の縁だ。
【例文3】相性が良く袖振り合うも多生の縁だ。

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「袖振り合うも多生の縁」は男女問わず

「袖振り合うも多生の縁」とは、「道行く知らない人と袖が触れ合うことですら宿縁による。すなわちちょっとした出来事も全て宿世の因縁によるという意味」です。「振り合う」は「お互いに振り合う、触れ合う」という場面を表しています。昔から別れの挨拶は袖を振ることでした。万葉集にも柿本人麻呂の歌で「岩見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか」などと詠まれています。今は「手を振る」ですが、昔は「袖を振る」だったのです。江戸時代になると、ある程度の身分の未婚女性が大振袖を未婚のしるしとして着用するようになります。この大振袖を蝶々のように振ることで、好きな男性へのアピールをしたともいいますし、長い袖は男からの恋文を入れやすいようにするために段々と長くなったという説もあります。よく時代物でも簪を指したり、手柄という可愛らしい布を髷に巻いて飾りにした娘さんが、大振袖を着ていますよね。振袖を振ることでアピールして射止めた男性から受け入れてもらえると、振袖に恋文が入れられて逢引きをし、仲が深まれば結婚へという段取りでしたから、この「袖振り合うも多(他)生の縁」は時代が下ると男女の仲を指すことが増え、「多生(他生)」は「親子の縁は二世(今生と来世、もしくは前世と今生)であり、夫婦の縁は三世(前世、今生、来世)であり、夫婦の縁の方が親子よりも深いものだ」という考えからも、この言葉が結婚へのご縁を指す場面も多いのですが、もともとの言葉の意味としては、男女問わず、「些細な触れ合いであっても因縁なのだ」という意味なのです。