歳月人を待たず

【漢字】歳月人を待たず
【読み】さいげつひとをまたず
【意味】時間は人の都合など待ってはくれず刻々と過ぎるものだから今の時間を大切にしようという意味。
【例文1】歳月は人を待たずだから今を楽しむ。
【例文2】歳月は人を待たず婚期を逃した。
【例文3】歳月は人を待たずだから何にでも挑戦する。

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「歳月人を待たず」に関する思い違い

「歳月人を待たず」は陶淵明の雑詩の言葉です。「年月は人の都合によらず、どんどん過ぎていくもので少しの間も待ってはくれない」という意味です。陶淵明は六朝時代の詩人です。

下級貴族の家に生まれ、官吏として勤めますが、不遇な人生を送ります。41歳の時に官吏をやめて「帰去来辞」を残し故郷の田園地帯に戻り隠棲します。わかりやすい言葉で田園生活や隠棲暮らしの心境を詩文に詠み、孟浩然や王維に影響を与えました。陶淵明は雑詩十二作っていますがどれも秀逸です。

この「歳月人を待たず」は其の一ですが、前半八首は内容からして晩年の作と考えられ、後半四首は官吏をしていた頃の作品と考えられます。この雑詩其の一の詩でよく引き合いに出されるのが最後の四句です。「盛年不重來 一日難再晨 及時當勉勵 歳月不待人」で「盛年重ねては來たらず 

一日再びは晨なりがたし 時に及んで當に勉勵すべし 歳月人を待たず」ど読み、意味は「盛りの年は二度とは来ない、今日という日は再びは来ない 時に及んでまさに勉励しよう 歳月は人を待ってはくれないのだ」なのですが、勉励が勉強と解釈され、歳月は人を待たないから寸刻を惜しんで勉強すべきだと解釈され、そのように覚えている人も多いと思いますが、この詩でいう勉励は行楽のことで、歳月は人を待たないので行楽に励みましょうというのが本来の意味なのです。晩年の作だという知識があれば、行楽に励みましょうという意味の方がしっくりきますね。