洞が峠を決め込む
【漢字】洞が峠を決め込む
【読み】ほらがとげをきめこむ
【意味】両者を見比べて有利な方につく。
【例文1】2社からスカウトがきたので、洞が峠を決め込む。
【例文2】洞が峠を決め込んで職に就く。
【例文3】条件次第で洞が峠を決め込む。
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「洞が峠を決め込む」は史実誤認の濡れぎぬ?
使用頻度はあまり多いとは言えませんが、「洞が峠を決め込む」という言葉があります。「洞ヶ峠」は「ほらがとうげ」と読みますが、ちょっとおもしろい語感の言葉ではないでしょうか。
これ、うまい使い方をすると、人から「教養がある」と思われるかもしれません。
洞ヶ峠というのは、京都と大阪の府境に実在する峠です。なんとなく、「歴史に関係ありそう」というイメージを持つ人も多いでしょう。そのとおり、これは有名な日本史の出来事にもとづいてつくられた言葉なのです。
舞台は、天正年間の「山崎の戦い」。本能寺の変の後、信長を討った明智光秀と、信長の家臣羽柴秀吉が、当時の山城の国の山崎でぶつかり合いました。その時、双方から「加勢してほしい」と頼まれたのが、筒井順慶。大和の国の大名です。
筒井順慶は、光秀の加勢をすべく、合戦の地、山崎の南に位置する洞ヶ峠まで兵を進めたものの、そこで躊躇し、「やっぱりやめた」とばかり、兵を引き上げてしまった、どちらつかずの判断をしたというところから、「洞ヶ峠を決め込む」という言葉ができたと言われています。
その意味はすなわち、「日和見する」ということになります。
しかし、史実によれば、筒井順慶は洞ヶ峠には行っていないというのです。洞ヶ峠に行くことなく、自らの意思で中立を保つべく、大和へ兵を引き上げたというのが史実とされています。
つまり、「筒井順慶は洞ヶ峠を決め込んでいない」ということになるでしょう。