嘘から出た実(誠)
【漢字】嘘から出た実(誠)
【読み】うそからでたまこと
【意味】嘘をついたことが偶然にも真実になる。
【例文1】夏休みは海外旅行に行くと言ったら、嘘から出た実で家族で海外旅行に行くことになった。
【例文2】エイプリルフールにゲームを買おうと子どもに言ったら、本気で喜んでしまい可哀想になり買う事になった。嘘から出た実だ。
【例文3】友人に彼女だと紹介したら、彼女になってくれて嘘から出た実だ。
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嘘から出た誠 海外事変
生まれて初めてオーストラリアに行きました。
仕事と恋愛に行き詰って、計画性なく1年ほど日本を飛び出す無謀な行動でしたが、それほど精神的に追い込まれていたのです。
滞在が1年ともなると、どうしても車が必です。
到着した翌日、ガイドマップに載っていた中古車ばかりが軒を連ねるストリートに出かけました。
私が探していたのは、手ごろな値段のセダンでした。
どのヤードに行っても口の上手いセールスマンが「カモが来た」とばかりにわんさか寄ってきては、ボロボロな割に高額な車を勧めてきます。
その日は10件ほど周り、どれも気に入らず、次の日には私の人相も険しくなっていました。
2日目の5件目のヤードで、全く商売い気の無い、かなり年上のオージーが「あなたとは以前、会ったことがある」と言い出しました。
「あーはいはい。会った。会った。どこでだっけ?この車の試乗していいですか?」
一昨日、生まれて初めてオーストラリアに来たばかりで、そんなこと絶対にありえないと即断して、適当に調子を合わせました。
あわよくば値引きに持って行けないかと悪知恵も働き、危ない英語で交渉します。
オーストラリアの試乗には、セールスマンが同乗するのがルールで、その人も助手席に乗ってきました。
セールスマンは「日本で会ったことがある。私が船員だった頃、横浜のカメラ屋で」と詳しいディテールを、興奮気味に話し続けます。
私はうるさいなぁと思いつつ、車の乗り心地に集中しています。
全くとんちんかんな会話が続き、彼が遂に「一緒に写真撮ったよ。あなたは学生服だった。もう一人の友達と一緒で」と言ったのです。
その言葉を聞いて、ヤードを訪れてから1時間以上も経って初めてまじまじと彼の顔を凝視しました。
「中学3年生だって言ってた。カメラ屋で値段の交渉を手伝ってくれた。結局買わないのかーって笑って」
そういえば、薄っすらそんなセピア色の記憶があるような・・。
「この車の値引きはしてあげられないけど、これから色々案内してあげるよ」
それから10年間、ずっと一緒に暮らしています。