爪の垢を煎じて飲む
【漢字】爪の垢を煎じて飲む
【読み】つめのあかをせんじてのむ
【意味】良く出来た者の爪の垢を煎じて飲んででも、あやかりたいという思いが込められている。
【例文1】幼稚園児でもお片ずけできるのに!まったく彼にも爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
【例文2】美意識の高さを爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
【例文3】今の若者に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。
爪の垢を煎じて飲むをテーマにした記事
「爪の垢を煎じて飲む」と言った店長
学生時代に飲食店のバイトをしていたのですが『常にお客様に快適と思ってもらえる接客をすること』を、店長やエリアマネージャーが頻繁にバイトの人たちに言っていました。とはいってもその接客方針の内容は『元気な挨拶をする』『笑顔でお客様に接する』といった至極ありふれたもので、私自身も仮に自分がお客様の立場だったら「店員さんが元気な明るい笑顔で接してくれたら確かに心地好いだろうから、そういう接客を心掛けよう」と接客方針に納得していました。
それに他のバイト仲間も、たとえ店長やエリアマネージャーといった社員がいないときでも、接客するときはきちんと笑顔でお客様に対応している人がほとんどで、特に問題があるような人はいませんでした。
ですがしばらくして新しく入ってきたバイトの人のことで、店長が頭を抱えてしまいました。その新人の接客は、笑顔でもなければ声のトーンも機械的で、お世辞にも良いと言えるものではなかったのです。
ある日、私が店長と雑談をしていると、店長からその新人の話題が出ました。そのとき店長から「きみの接客態度はいつも良いから、きみの爪の垢を煎じて新人の子に飲ませてあげたい」と言われました。私は自分の接客態度が良いと評価されたのは嬉しかったのですが、今までの人生で『爪の垢を煎じて飲む』という言葉を本で読んだことはあっても、実際に使っている人には会ったことはなかったので、少し新鮮な気持ちになりました。これからも何かあったら、爪の垢を煎じて飲ませたいと思ってもらえる人間になりたいですね。
爪の垢を煎じて飲むのを真に受けた子供たち
二人の子がまだ小学生と幼稚園生だったころの話です。
近くに住むおばあちゃんの家に休みになると泊りがけで遊びに行っていた子どもたちですが、親戚の子もよく来ていました。
同じ年頃の子どもたちでいつも賑わうおばあちゃんの家、親にとってはその間、子どもから解放されるので親子ともどもウィンウィンでした。
しかしある日突然、下の子がもう行きたくないと言い出しました。
年上の親戚にいじめられたと言うのです。
上の子にも話を聞くと、どうやら飲まされたお茶に爪の垢みたいなものを入れてあったらしく、それも無理やり飲まされ後から知らされたとのこと。
ものすごくビックリで衝撃でした。
爪の垢を煎じて飲むという諺を知っていたんだなと思うと同時に、まさかそれを実際にやり、しかも我が子に無理やり飲ませるとは…。
あいた口が塞がらないとはこのことです。またとても腹立たしく、そして悲しくなりました。
大事な我が子がそんな酷い目に遭ってしまった、汚いものを無理やり飲まされてしまったと、不憫でかわいそうになりました。
結局その日を境に下の子はおばあちゃんの家に行かなくなりました。
上の子は能天気なもので相変わらず毎回楽しげに泊りに行っていました。
あれから10年以上が経ちますが、爪の垢を煎じて飲むという諺を耳にする度に、いつもそのことを思い出します。
当時は腹立たしさが勝っていましたが、今となってはおかしさの方が上で、よくも実際にやったものだと感心さえします。
ただいまだに下の子はおばあちゃんの家にほとんど行っていません。
相当トラウマだったのか、他の楽しみを見つけたからなのか私にはよく分かりませんが、おばあちゃんとの交流が激減したことに寂しさを覚える昨今です。