【漢字】人を呪わば穴二つ 【読み】ひとをのろわばあなふたつ 【意味】他人に与えた害はやがて自分にも返ってくるという戒め。 【例文1】ひき逃げ犯を憎むが、人を呪わば穴二つで刑が重くなる事を願う。 【例文2】人を呪わば穴二つで出世して見返す。 【例文3】ざまーみろ。人を呪わば穴二つだ。 社会人になって半年ほど経った時のことです。配属された部署に1人、嫌な先輩がいました。半年たって、一通り仕事を覚えることができていたのですが、その先輩は細かいことにダメ出しするのです。 新人を厳しく育てようということなのかもしれませんが、とにかく陰湿でねちねち説教をするのです。人格否定のようなことも口にします。 そのことを、親にグチったことがありました。「あんな先輩、クビになればいいのに」という言うと、親はこんなアドバイスをしてくれました。 「人のことをそんなふうに言うもんじゃない。人を呪わば穴二つ。人に悪いことが起こればいいなんて考えると、自分にもその恨みが返ってくるものだ。その先輩よりも先に出世してしまえば、そんなことに悩む必要はなくなる。人を恨むよりも自分が成長することを考えなさい」。 初めて聞くことわざでした。それで、自分でその意味を知らべてみたところ、ちょっと怖い由来がわかったのです。 このことわざのルーツは平安時代の陰陽師にあるのだとか。加持祈祷を行う陰陽師が、誰かを呪詛によって殺そうとする場合、呪い返しをされて、自分も死ぬかもしれないということを覚悟したと言います。そのため、呪詛する際には相手の分と自分の分と、二つの墓穴を用意したというのが、このことわざの由来です。 「穴」はつまり墓穴のことですが、陰陽師は命がけの仕事だったわけですね。 余談ですが、親から努力して出世しろと言われた私は、残念ながら思うような出世はできていません。 我が母は昭和のひとケタ生まれの人でした。 戦時中は疎開をしたと言い、疎開をしたところは田舎で都会者は役に立たないとじゃけんにされることもよくあったそうです。 長女の母は弟や妹たちのためにも、田舎の人たちと伍して重い切り倒した木を運ぶのを手伝ったり、食事にするのがたくさん虫のわいたようなかぼちゃであっても我慢をして働いたそうです。 そんな苦労人の母ですが、いじめられても決してその相手を恨んだりしなかったと言います。 そしてそんな話をするときには「人を呪わば穴二つと言うてな、誰かを悪く思ってその人に災いがあれば良いなどと考えると、その悪意は我が身に返ってくるということを忘れてはいけない」と言いました。 人を呪わば穴二つという意味ですが、この穴二つは何の穴かというと、これは墓穴です。 誰かに悪意を持って死ねば良いなどと呪ったりすると、その人だけではなく自分もまた墓穴に入ることになるという教えです。 恨みというのはいろいろな場面で人が感じるものですが、その恨みに執着することでより悪い循環を生むことになるのも頷けます。 それよりも違う方向に気持ちを向けていくことが大事なのだと思います。 最近ユーチューブやテレビを騒がせている女優さんの恨み節。 彼女に教えてあげたいことわざです。 人を呪わば穴二つとは、人に害を与えようとすればやがて自分も害を受けるようになるということなのですが、あながち例えでも迷信でもないように思います。 縁というのはどこかで繋がっているので、自分がしたい良いことも悪いことも巡り巡って自分に戻ってくるように思います。 それは怖いことでもないし、夢物語でもないように思います。 ただ、人を呪うとか恨むといったのはできればやめたほうがいいですよね。 呪うと相手にもダメージがありますが自分も必ずと言っていいほどダメージがありますよ。 だって、呪うのってかなり体力も気力も使うわけですからね。 逆に誰かの幸せを心から願うということは、自分の幸せを心から願うということでもあるので、同じ体力や気力を使うなら幸せになる方法を選択したいものですよね。 確かに人の幸せが羨ましいのはわかります。 だけど、それってその人の一面しか見ていないことに気が付かなくちゃいけないですよね。 なんでもそうですが、想像力ってとても大切だと思うのです。 また、専業主婦の方で世間から切り離されているような気持になるというのも想像力が発揮できていないですよね。 山の中で自給自足して誰にも会わずに生活しているわけではないのなら、どれだけの人が関わって生活できているのかというのが分からなくなっているんですよね。 もったいないですね。沢山のお陰様で成り立っていますよね。
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